公募美術団体 一般社団法人 旺玄会

公募美術団体 旺玄会は公募展「旺玄展」への出品者を募集しております。

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    絵画展に関するQ&A
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    私の絵画制作
    常任委員 中村章子
    常任委員 斎藤寅彦
    常任委員 杉田英雄
    常任委員 田中紘子
    常任委員 加藤良子
     

    技法講座
    銀箔を焼いて、制作に生かそう
    デジタルアートへのお誘いiC
    デジタルアートへのお誘いiB
    デジタルアートへのお誘いiA
    デジタルアートへのお誘いi@
    私の絵画制作へのご招待
     絵を描いていて、これでよいのだろうか、この先絵を描き続けるとして、いかに描き進めて行けばよいのだろうか、色々お悩みのことと思います。
     先輩作家達は、そのような悩みをどのように乗り越え、現在の創作活動を進めているのでしょうか、このページではそうした具体的な事例をご紹介いたします。
     旺玄会には、具象から抽象まで幅広い作家がおり、多彩なテーマ、様々な画風をそこに見ることが出来ます。その中で、あなたのお役に立つ実例が見つかれば幸いです。
     2015年1月を皮切りに、1,2ヶ月の間隔でで、旺玄会の第一線で活躍しているトップレベルの作家達をご紹介します。その作家がどのような遍歴を経てきたか、何をコンセプトに現在のテーマが生まれたのか、技法上の特色は何か、場合によっては営業秘密に属する秘伝の披瀝があるかも知れませんよ。
    シリーズをお楽しみ下さい。
     私の絵画制作第1回は、理事の加藤良子常任委員をご紹介いたします。旺玄会には、いろいろなジャンル、作風の作家がいますが、具象絵画で、写実的な人物表現で知られる加藤さんが、どのような遍歴を経て現在のテーマにたどり着いたか、技法上どのような点に苦労しているかなどを書いて頂きました。
     なお、加藤さんは、東京キ美術館主催の「公募団体ベストセレクション美術2014」に旺玄会を代表する作家の一人として出品しております。
    アテナ女神への憧れ 旺玄会理事 加藤良子(常任委員)
    私の絵の歩み
     小さな頃から絵を描くのが好きで、高校に進んで美術部に入り、はじめて油絵を描きました。女子美大で、本格的に油絵を学び、結婚後は、勤め、家事、育児にと忙しく、日曜ごとに画材店主催のクロッキーに顔を出すのが精一杯で、仲間とグループ展を開くのが励みになりました。
     旺玄会に出品しはじめ、花の絵が中心でしたが、背景にヨーロッパ旅行で描いた外国風景をいれることが増えるようになります。しかし、花と外国風景という絵は多く、個性を出すことは大変なことだと痛感しました。
    潮のかおり   第46回旺玄展(1980年) 旺玄会初出品作
    追 想  第54回旺玄展(1988年) 佳作賞
     その後、インドやイランを旅し、その風景や風俗、特に民族衣装を身につけた女性たちに魅せられ、相当期間、インドやイランの暮らしの中の女性たちがテーマとなりました。
    花売り  第55回旺玄展(1988年)
    運ぶ   第58回旺玄展(1992年) 佳作賞
     さらに、好奇と探美の旅は、シリア、ヨルダン、パレスチナ。中央アジア、トルコ、ギリシャと広がり、古代遺跡の素晴らしさに触れました。
    ブルーモスク‘98   第60回旺玄展(1998年)
     遺跡は、人間の歩んだ足跡で、まさに人類の文化遺産そのもので、最も優れたもの、最も美しいものが残されていると思います。
    遺跡追想‘06   第72回旺玄展(2006年)
    遺跡追想―ヒエラポリス   第75回旺玄展(2009年)
     ペルセポリスの遺跡からギリシャの遺跡へと主題は遷り、さらに今はギリシャ神話の神々と英雄たち―。色恋ざた、美人(神)あらそい、しっとと怒り、闘いと雄々しさなど、ギリシャ神話は死すべき人間生活の実相で、永遠に文学と芸術のテーマの源泉です。
     アテネの国立博物館でみた千にも及ぶ彫刻や壺などもすごくいい勉強になりました。
     どの絵描きさんもそうでしょうが、絵を描くには、実際に現地に行ってスケッチをし、写真も撮ってきます。現地の空気を肌で感じ、目で見てしっかりと対象をつかみ、あれこれと考察を加えて醗酵させ、これで行こうかなという成熟を待って制作に取りかかります。
    ギリシャ・女神アテナ  公募団体ベストセレクション美術2014展
    マチエールの工夫
     ギリシャ彫刻を描く場合も色調の冴えや深さを期待して、キャンバスにジェッソで丁寧な地塗りをします。次いで、時間の風雪に曝された彫刻をよりリアルに風格ある表現にするために、色調は勿論ですが、マチエールにも大きな注意を払います。その際、慎重な絵具選びをしますが、絵の成否を大きく左右する質感表現に色々と工夫をしています。
     制作に取り掛かり、より質感を出すため、まず下絵を描く絵具にメディウムと大理石の粉を混ぜ、パレットナイフでキャンバス上に丁寧に塗り重ねしていきます。絵具に混ぜる素材では、以前に日本画用の軽石の粉末を使っていましたが、今は大理石の粉を使用しています。大理石の粒を乳鉢ですり潰し、より小さな粒や粉にします。描く彫刻の各部位の地肌に合わせて何色か作り、粒や粉の配合率も変え、それぞれ納得出来るマチエールで全体を仕上げていきます。色合わせには神経を使います。こうして出来た下絵は半乾きになるまで2〜3日置きます。
    制作での苦闘
     下絵作りは制作の根幹をなす過程で、下絵次第で気品のある絵にもなれば、貧弱で嘘っぽい絵にもなります。下絵が気に入らなければ描き直しです。大事に大事に描いた下絵の仕上げは更に神経を使います。
     「美のイデア」、つまり表現したかったものに向かって、時には微妙にデッサンをし直したり、構図や光線の具合を考慮して、奥行きや陰、柔らかさや重厚さを出すなど、仕上げていきます。私は美々しさより深みや味わいのある絵が好きです。  内面で画想が成熟し、よし、これで行こうと描き始めても、意図通りに絵は出来上がってはくれません。描きたい内面のイメージをどう個性豊かに描くか、結局絵描きの力量でしょう。さらに描いていても途中で新たな課題が出て来て、描いたものが納得出来ないこともしばしばです。構図や色調がどうも、マチエールがいまいちなど……。
     絵を描くというのはまさに絵との全身全霊をかけた格闘です。
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