公募美術団体 旺玄会は公募展「旺玄展」への出品者を募集しております。
私の絵画制作第2回は、都会的センスに溢れた「ヨコハマスパイラル」シリーズで知られる、理事で常任委員の田中紘子さんです。その田中さんの絵の出発点が、蹴飛ばされて変形していた「薬罐」だったと言うことが信じられますか。
画家の傍ら、障害児を指導し、ガールスカウト時代の若き日に、日米友好の銅像のモデルにもなった田中紘子さんの画風遍歴を追ってみましょう。
私が旺玄会に初出品してから33年ほどになります。
小さい頃から絵を描くことが好きでした。
学生時代には、演劇部やガールスカウト活動に熱中していましたが、同時に美術部にも所属し、自分のイメージを形にしていくのが好きでした。一頃は、演劇の方に進むことも考えましたが、結局絵の道を選択することになりました。
1.「薬罐」シリーズ
旺玄会に絵を出すようになってからも、初めの頃盛んに薬罐をテーマに絵を描きましたが、その原点は、小学校時代、校庭に転がっていた「水まき薬罐」にあります。
使い古された薬罐、蹴飛ばされ凸凹になり、スクラップ寸前の薬罐を見て、「そのフォルムが描きたい!!と、心が震えました。
酷使されたオブジェに、「老兵まだ死なず」の風情が漂い、時間の流れを教えてくれました。
そんなわけで、旺玄会の作品を発表するようになっても、しばらくの間「薬罐」をテーマにした作品や、画面上に薬罐が登場する作品が続きました。
2.「キッチンシリーズ」
薬罐シリーズに続いて、日常、料理をしながら使う「鍋」「水差し」「グラス」「皿」「果物」「野菜」達が画面に登場するようになります。
これらの品々が、卓上に盛られた喜びや悲しみが旋律となり、宇宙を創る〜不思議な空間が生まれます。
見慣れた物の中にこそ、感情表現があります。
ヨコハマ磯子駅近くに、障害者活動ホームが30有余年前に開設され、絵画パレットクラブの子供達と一緒に歩んできました。「心の世界」を絵画で個性豊かに表現する子供達の作品。「殴り書きの線」が、逆に私に勇気を与えてくれます。
3.「ストリートシーンシリーズ」
やがて、アトリエから街に出て、ミナトヨコハマを壁画風に描いてみたいと思うようになりました。今までの厚塗りから、もっと軽やかさを出したいと考え、アクリルを多く使う方法に変えました。
MM21、ランドマークタワー周辺、ベイブリッジ、元町etc.
闊歩する彼女たちのスタイルをファンタジー風に表現しました。
今も変わらぬ青い海、国際都市の中で女性像を対角線構図で組み、色面として、響き合うロマンの美を求めました。カラフルな細かい花柄を配置し、大きな色面に変化をつけています。
4.スパイラルシリーズ
最近10年ほど、波のダイナミックな流動に引かれています。
“生成流動”フォルムと色彩が生き生きと強調する!!
群像表現を組合せ、金箔・銀箔を使って、波のニュアンスを盛り込んでみました。
白い画面が多くなり、変化を求めるため、面胡粉とマット・メディウムにジェッソを入れて塗布しています。
(旺玄会事務局注)
田中紘子さんは、平成20年、第27回損保ジャパン選抜奨励展で、同美術財団が奨励賞を授与している36団体の受賞作家と推薦作家を加えた60名による展覧会 で、「損保ジャパン美術賞」(グランプリ)を受賞しております。(左の写真参照)
折しも開港150年を翌年に控えた横浜の街を油彩、アクリル、石膏、金箔を使って制作したもので、受賞にあたり作者は、「…横浜の開港当時と今をダブルブッキングしたのが今回の作品です。カンバス左側には立ち止まった女性を描き、右側は人の流れに又戻って行くイメージで、現代の浮世絵のようなものだと思っております。」 と語っております。
昨年ガールスカウト横浜市連絡協議会が65周年を迎え、山下公園の氷川丸の前にある「日米ガールスカウト友好の像」の前で、52年ぶりにモデルを務めたリビーさんと私が再開の握手をしました。
その感動を絵にして、支援して頂いた皆様に、お礼の気持を表しました。
(旺玄会事務局注)
田中紘子さんが、52年前に「日米友好の像」のモデルを務め、アメリカ側の モデルを務めたリビー・ワトソンさんと再会を果たしたことは、マスコミでも 大きく取り上げられましたが、
旺玄会ホームページでも紹介されていますので、ご参照下さい。
これから描きたいもの
現代はスピードの時代
描きたいものは何か? を求めながら、
色や線にしても探求していかなければならない!!
心がける画面は、平面性。
“豊かな表現と遊び”へとこれからは進んで行きたい
と考えております。
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